Sexual Minority

セクシュアルマイノリティってなんだろう?

セクシュアルマイノリティとは?



セクシャルマイノリティ。日本語では性的少数者の事。

性のありかたが非典型的な人の事やセクシャリティにおける少数派。要するに社会の中で「これが普通である」 と思われている性のありかたに当てはまらない人たちの総称。

 

セクシュアリティとは「性のありかた」のことで、「からだの性」、「こころの性」、「恋愛対象の性」の3要素によって判断される。

男性が女性を、女性が男性を好きになる、いわゆる私たちの普通とする恋愛は異性愛(ヘテロセクシュアリティ)といい、同性愛をホモセクシュアルという。また「ノンケ」、「ストレート」といった呼び方もされる。


日本でも同性愛者同士の結婚が法律的に認められていない事や、セクシュアルマイノリティへの偏見などにより、カミングアウトを避ける人が多いが、日本人口の20人に一人がこれに該当すると結論が出ている。

 

セクシュアルマイノリティはより細かい分類があるが、ここでは、主に扱われるLGBTについて紹介する。

LGBTとは?



セクシュアルマイノリティーのうち、主に扱われる、Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシャル)、Transgender(トランスジェンダー)の四つ のカテゴリーの頭文字を取ったもの。




Lesbian

レズビアン

女性の同性愛者。

からだの性、こころの性は女性。恋愛対象の性が女性という女性。

日本では「レズ」や、「ビアン」という略称が使われるが、「レズ」という略称に少なからず蔑称として偏見的な味を感じられるため、嫌う人が多く、「ビアン」という略称を使う人が多い。

しかし「ビアン」という略称は90年代以降によく使われた略称であり、あまり一般には浸透しておらず、「レズ」という略称を蔑称の意味なく使う人が多いのが現状である。


また、同人作品や漫画、アニメ、ゲームなどのサブカルチャーで見かけるレズビアンの恋愛作品を、「百合」、「ガールズラブ(GL)」という。




Gay

ゲイ

男性の同性愛者。

からだの性、こころの性は男性。恋愛対象の性が男性という男性。

別称として「ホモ」と使われることが多いが、これもレズビアンの「レズ」と同じく蔑称の意味になるので嫌う人が多い。

そもそも、「ホモ」とは同性愛者という意味合いのため、男性同性愛者に限定して使うのは日本くらいの話であり、また間違いである。


こちらも現在同人作品や漫画、アニメ、ゲームなどで扱われる際、「薔薇」、「ボーイズラブ(BL)」といったカテゴリーで分けられる。

特に近年、ゲイを扱った漫画などを好む女性や男性(腐女子、腐男子と呼ばれる)などがネット上などで目立ち始め、そういった人たちをからかう意味でも「ホモ」という言葉が使われている場面が多く見られるのが現状である。




Bisexual

バイセクシュアル

男女どちらでも好きになる男性、女性。両性愛者とも。

言葉の通り、男性にも女性にも魅力を感じる人を指す。

定義としてはあいまいな部分が多く、精神的に同性を好むが、肉体的には異性を好む。また反対に精神的に異性を好むが、 肉体的に同性を好む。肉体的に求めることはないが、精神的にどちらも好む。など様々である。

また、その人が女性の場合、男性に対しての恋愛感情であれば異性愛になり、女性に対しての恋愛感情であれば同性愛になる、 ということも含め、広義での同性愛に含まれる場合もある。




Transgender

トランスジェンダー

からだの性別とこころの性別の不一致。恋愛対象の性はそれぞれであるとされる。

性同一性といい、「自分がどの性別に属するか、身体的性別を同一感を持つか」また、性別のアイデンティティーというが、それが身体的性別とは違うアイデンティティーを感じている状態である。

トランスジェンダーであることは、特定の性的指向を持津ことを条件としない。つまり、上記のLGBのように性的指向は関係なく、トランスジェンダーの人々は異性愛者、同性愛者、両性愛者、全性愛者、無性愛者などであったりする。


また、トランスジェンダーと聞くと、性同一性障害というワードを連想する人も少なくないだろう。しかし、この二つは似ているようで全く違う。

この違いを簡単に言えば、「こころとからだの性を一致させたいかどうか」。

まず、「性同一性障害」というのは、医学用語である。日本では、性別適合手術を受けたり、戸籍の変更をするためには、医師から性同一性障害であると診断を受けることが条件である。そのために「トランスジェンダー=性同一性障害」というイメージが強い。

しかし、すべてのトランスジェンダーの人々が、こころとからだの性を一致させたいと思っているわけではない。

また医学の上での性同一性障害も「生物学的性別と性の自己意識が一致しないために、自らの性別に違和感を持ち、自己意識に一致する性を求め、性の適合を望むことさえある状態」とされている。要するに、こころとからだの性が一致しないために、そのままでは生きていくのが苦しいといった状態であるということ。これに当てはまる人がトランスジェンダーの中でも性同一性障害の人ということになる。

トランスジェンダーというのは広義になり、性同一性障害だけではなく、更に多様な人を含む。

性別に対する意識が、男性・女性どちらでもないと感じるクロスジェンダーや、男装や女装を好むクロスドレッサー、また特別な用語はないが、見た目とからだの性が一致していても、気持ちの性は別、であるという人もいる。こういった人は服装や手術を積極的に変えたりはしない。

日本での取り組み


同性愛者は前述した通り、20人に一人がセクシュアルマイノリティーに属する。しかし、TVで活躍する芸能人であったり、ネットやサブカルチャーなどで知識として得ることはあっても、日常生活において、セクシュアルマイノリティーだという人に出会ったことがない人が大半であろう。

確かに以前と比べると、カミングアウトする人たちは増えてきたが、未だホモフォビア(同性愛、同性愛者に対し恐怖・嫌悪・偏見・拒絶など、否定的な価値観を持つこと)があるために、自分がセクシュアルマイノリティーであることをカミングアウトしていない人が多数である。

またカミングアウトしたことにより、人間関係の悪化や、職場などでの不当な扱いに苦しむ人々もいる。


しかし、そんな日本でも数年前からセクシュアルマイノリティーに対する取り組みが大々的に行われ始めている。

2015年には、日本初、同性カップルを結婚に相当をする関係と認め、パートナーとして証明書を発行する。という条例が東京・渋谷区で成立した。

対象は区内に住む20歳以上のカップル。条例は、男女平等や多様性の尊重をうたったうえ、「パートナーシップ証明書」を発行する。これを持つ同性カップルは、夫婦と同等に扱われるようになり、家族向け区営住宅にも入居できるようになるという。

また、現在では渋谷区以外にも、条例ではなく要綱としてではあるが、世田谷区、伊賀市、宝塚市、那覇市で導入されており、今年4月から、ついに札幌市でもこの制度がはじまる。

同性だけでなく、トランスジェンダーの人の利用も踏まえ、異性のカップルも利用できるようになっているのが特徴である。





世界的にもセクシュアルマイノリティーに対して寛容になりつつあるが、それでも法律の改善や、制度を定めたりするだけで、セクシュアルマイノリティーに対する教育などは積極的に行われていない。

それがどういったもので、また世界がどのように変化し、対応しているのかを知る機会があればより、理解は深まっていくのかもしれない。

しかし、偏見やホモフォビアに関する視点も早々になくすことはできないだろう。

私たちが「普通」「常識」であると感じているものではない価値観が入ってくることに、誰しもが快く受け入れられるものではないし、「異常」だと感じることは明らかである。

「カミングアウトされてもどう接していいのかわからない」「同性に自分が恋愛対象に見られていると思うと怖い、緊張する」。これはある意味当然の反応でもあるだろう。

だからこそ知識だけではなく、理解することが大切であると思うのだ。


直接的な攻撃ではないにせよ、ボディータッチの多い友達に対し、冗談半分に「ホモだろう」などといって笑ったり、「あいつ実は同性が好きらしい」と陰口や噂などを言ってみたり、そこに悪気はなくとも、その場にセクシュアルマイノリティーの人がいなくとも、まるでセクシュアルマイノリティーであることを責めるような風潮や会話などがある。

もしその場に、セクシュアルマイノリティーを隠している人がいたとして、その人はその言葉を快く聞いていられるだろうか。もし、自分がその立場ならその会話に笑って混ざれるだろうか。

私たちは知らずのうちに言葉という偏見で、セクシュアルマイノリティーの人たちが生きにくい世界を作っているかもしれない。

ITが発達しているこの時世、動画やSNS,サイトからでもたくさんの知識が得られる。しかし、知識で知っているからそれに理解がある。ということではないということをもう一度考えるべきだ。

自身のアイデンティティーを大切にするのと同時に、相手のアイデンティティーを受け止め、大切にしていくことが、更なる制度や条例、取り組みの第一歩になるだろう。